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【書評/レビュー】都市と都市

ヒューゴー賞、ローカス賞、クラーク賞、世界幻想文学大賞、英国SF協会賞受賞

都市と都市 (ハヤカワ文庫SF)都市と都市 (ハヤカワ文庫SF)
(2011/12/20)
チャイナ・ミエヴィル

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早くも来年のSFが読みたい1位候補が出てしまった。

SF読者ならこのタイトルがかのクラークの『都市と星』をオマージュしていることがすぐ分かるが、ミエヴィルの『都市と都市』には未来的テクノロジーやヴァーチャルリアリティを想起させるようなガジェットは全く出てこない。
というか全編を通してボルル警部補の一人称で語られるハードボイルド刑事小説で、SF・ファンタジーと聞いて読むと「おいおい、いつになったらSFが始まるんだよ」と思ってしまう。
そこでタイトルにもある通り2つの都市<べジュル>と<ウル・コーマ>が関係してくる。説明するのがなかなか難しいので、解説から文章を拝借しよう。


ふたつの街は、地理的にほぼ同じ場所を占めている。(中略)べジュルとウル・コーマのあいだに物理的な壁は存在しない、にもかかわらず、ふたつの街にには厳然とした区別があり、両国の国民はたがいに相手の国が存在しないものとしてふるまわなければならない。そのため、一方の都市の住人は他方の都市の住人を見ることも、声を聞くことも禁じられている。(中略)このもっとも基本的な決まりに違反すると(=<ブリーチ>行為をおかすと)、<ブリーチ>と呼ばれる謎の組織がどこからともなくあらわれ、違反者を連行する。<ブリーチ>はほぼ無制限の巨大な権力を持ち、両国の国民にとって、かぎりない畏怖の対象となっている。
解説 大森望


『見えているのに見ていないことにする』いわゆる叙述トリックを「私は叙述トリックを書きます」と宣言してから書いているようなものだ。その突飛な設定をおかしな話だと笑い飛ばすのは簡単だが、リアリティのある刑事小説に落とし込んでいるのだから、その凄まじさがよく分かる。
<ブリーチ>の絶対権力にしても、『<ブリーチ>行為をしない限り発動しない』ので、<ブリーチ>をしないように犯人・警察が動いていく様子はエンターテイメントとしてとても面白い。
論理的な思考パターンの末に到着するラストは特に鮮やか。架空世界におけるこの思考こそまさにSFだと声を大にして言いたい。
ミステリ好き、SF好き、ファンタジー好き、誰が読んでも納得の大傑作。
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