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【書評/レビュー】『ハローサマー、グッドバイ』マイクル・コーニィ

面白かったのでちょこっと。
相変わらずネタバレを含むので注意。


ハローサマー、グッドバイ (河出文庫)ハローサマー、グッドバイ (河出文庫)
(2008/07/04)
マイクル・コーニイ

商品詳細を見る


これは恋愛小説であり、戦争小説であり、SF小説であり、さらにもっと他の多くのものである。

冒頭、作者より




冒頭の「作者より」にある通り、この作品は地球型惑星での人間型生物のボーイミーツガール(アゲイン)である。もちろん地球でない惑星を舞台にしているのでSF的なガジェットがいくつか出てくるが、未熟な思春期の少年視点で語られるそれはほとんど気にならない。むしろほとんど終盤まで物語を地球での出来事に置き換えても構わないくらいである。

読んでてて思ったのだが、この作品は『イリヤの空、UFOの夏』に似ている。
ボーイミーツガール、思春期特有の優越感と冷めた視線の主人公、戦争を隠れ蓑にして行われる国家的陰謀、それとなく語られるSF要素、恋愛を通じた主人公たちの成長。おお、共通項がすげー見つかる見つかる。
とは言えヒロインは戦わないし、読後に感じるカタルシスは全く別方向で、『イリヤ』で描かれるヒロインとの別離・絶望・悲劇はひと夏の思い出として決別されるものだったが、『ハローサマー、グッドバイ』のドローヴが感じた別離・絶望・悲劇は乗り越えるものとして描かれている。
いや、『イリヤ』の浅羽も見方によっては悲劇を乗り越えて大人になったとも言えるが、ドローヴに関しては大人より更に上の存在へと進化する。

ラスト数ページ、ドローヴはある種の悟りのようなもので惑星の真実に到達する。他の大人たちは発狂するか、地下要塞にこもって40年の無為な日々を過ごすかである。
(そこは少々疑問なんだが。たかが少年が辿り着く真実を惑星の誰もが知りえないなんてことあるだろうか)
それは物語序盤から常に描かれる両親への反抗の究極的な形であり、ブラウンアイズとの恋愛の結末であり、ドローヴが大人より上の存在に成長したことを表す。

大人より上の存在とは何か。
ドローヴは要塞にこもった人間たちを敗者と言い切る。それはひどく幼い子供的な達観に聞こえなくもない。だが実際は、ドローヴこそ思春期の願望を叶えたまま、体制・階級に抑圧されず子供のまま成長した大人なのだ。
子供は大人になる。それはかつて抱いていた希望や反抗、無根拠な優越感と決別する儀式であるが、ドローヴは惑星の真実に触れることでそのような儀式を必要とせずに成長した。
そこが『イリヤ』の浅羽と決定的に違う点である。

さて、そろそろオチをつけようか。
オトナファミ12年3月号に富野由悠季氏のインタビューが載っていた。

僕自身は未だに中学2年生のままなんですよ。しかし、70歳らしい貫禄や風格が欲しいと思いながらも、中学生でいることのほうが、実はすごく大事なことだと実感しています。(…)仕事自体のベースになるのは中学生までに培ってきた勘です。それが人生の方向性を決める。だから、僕は70歳になった現在でもその感覚を大切にしていこうと決めました。


なるほどコイツはフリージングドローヴだな、と思っただけだった。
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